がん先進治療ハイブリッドベクターアポトーシス誘導治療
腫瘍殺傷性と腫瘍選択性および免疫回避性を備えた特殊なリポソームを
大量に投与することでがん細胞のアポトーシスを誘導
ハイブリッドベクターとは?
ハイブリッドベクター(HV)は、リポソームと呼ばれる脂質の二重膜のカプセルからなります。リポソームは細胞膜に非常によく似た構造で、安全性が高く確実なドラッグデリバリーシステム(DDS)として、医薬品や化粧品において汎用されてます。当治療において用いられるリポソームには、腫瘍殺傷性と腫瘍選択性(がん細胞だけに選択的に取り込まれる)を特徴とする材料で構成されています。
このリポソームに微量の界面活性剤(ミセル)を合わせて作られたのが、ハイブリッドベクターです。微量の界面活性剤を併せることで上記の特徴に加え、免疫回避機能が備わることとなります。
がん細胞が作り出した新生血管の隙間から
がん細胞にのみ集積する仕組み、EPR効果。
当治療では、EPR効果という仕組みを用いることで、よりがん細胞に選択的に取り込まれるよう工夫がされています。
がん細胞は、本来体の中にあった細胞ではないため、新しい血管を張り巡らせ自らが成長するための栄養や酸素を取り込もうとします。しかし、がん細胞によって新しくできた血管は不完全なものであるため、血管内皮細胞の間に200nm程度の隙間が存在しています。正常な細胞の周囲の隙間は6~7nm程度であるため、数百nmのナノ粒子に加工をすることで、その粒子は正常な組織には取り込まれず、腫瘍の組織の中だけに蓄積します。
また、がん細胞ではリンパ組織も発達していないために、組織中の異物を排除することができません。結果、これらの粒子は腫瘍組織中に貯留します。そして、一度血管から細胞間に漏れ出した粒子は、血管内に戻ることもできません。
このような特性をEPR効果と呼びます。抗がん剤のような低分子の薬剤や遺伝子などをがん細胞に選択的に運ぶドラッグデリバリーシステム(DDS)の技術として応用されてきております。
当治療で用いるハイブリッドベクターは、選択的にかつ効率的にがん細胞に蓄積させるためにこのEPR効果を利用した技術を用いています。
ハイブリッドベクターの抗腫瘍効果について
いずれの抗がん剤治療の効果がなかった進行期のbリンパ腫の患者は、ハイブリッドベクターを投与後の血液検査で異常は見つからず、1年以上生存期間が延び、その間に副作用は認められませんでした。超音波エコーで観察したところ、図 (a) に見られるように、局所投与によってリンパ節腫瘍 ( 固形がん) が著しく減少していることが確認されました。また図 (b) のTUNEL反応に見られるように、ハイブリッドベクターの投与により、リンパ節の固形がんの細胞にアポトーシス誘導されたことが示されました。

上記の研究では、肝がん細胞(HepG2)と正常肝細胞(Hc)の成長に対する抗がん剤・ドキソルビシン(DOX)またはハイブリッドベクター(HV) の効果を検証されました。DOXは肝がん細胞(図A)および正常肝細胞(図B)の細胞の成長を用量が応じ阻害しました。対照的に、HVでの処理は、50~200μMの濃度範囲で容量に応じ肝がん細胞の増殖を阻害しました(図C)。しかし、HV は同じ濃度範囲でHc細胞を阻害しませんでした(図D)。これらの結果は、HVが50~200μMの濃度範囲で正常な肝細胞に影響を与えることなく、肝がん細胞の成長を選択的に阻害したことを示しています。
引用:Kosuke Inamura et al. "Inhibitory effect of hybrid liposomes on the growth of liver cancer stem cells" Biochemical and Biophysical Research Communications Volume 509, Issue 1, 29 January :Pages 268-274(2019)
リスク・副作用
当治療において重篤な副作用の報告がこれまでありません。しかし、以下の副作用が予想されます。
・まれに発熱やだるさを感じることがあります。この症状は特別な処置をしなくても12〜24時間程度で改善されます。
・まれに発疹などのアレルギー様症状が発生することがあります。
がん治療の流れ
患者様の症状により、変更がある場合もあります。
お電話によるカウンセリング
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セカンドオピニオン外来
治療について医師よりご説明いたします。また、患者様の病状をお聞かせください。お一人おひとりに合った治療プランのご提案をさせていただきます。※診療情報提供書は、必須ではありませんが、直近の検査データなどありましたらご持参ください。
治療開始
患者様がご提案の治療をご希望された場合、治療プランに基づき治療を開始いたします。治療前にあらためて検査の必要がない場合は、セカンドオピニオンでご来院された当日から治療を開始することも可能です。
評価
治療開始後は、適宜画像検査や血液検査などから治療の評価をしていきます。※上記検査以外に、オプションとして遺伝子検査などをお受けいただくことも可能です。
未承認医薬品等で あることの明示、 入手経路等の明示 |
ハイブリッドベクターアポトーシス誘導治療に用いる未承認医薬品等は、医薬品医療機器等法上の承認を得ていないものです。 院内調剤(一部外部委託)として、適法に調剤しています。 日本では、未承認医薬品を、医師の責任において使用することができます。 |
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国内の承認医薬品等の 有無の明示 |
ハイブリッドベクターアポトーシス誘導治療に使用できる同一の性能を有する他の国内承認医薬品はありません。 |
諸外国における 安全性等に係る 情報の明示 |
Kosuke Inamura et al. "Inhibitory effect of hybrid liposomes on the growth of liver cancer stem cells" Biochemical and Biophysical Research Communications Volume 509, Issue 1, 29 January :Pages 268-274(2019) |