東京月島クリニック[がん治療・生活習慣病予防・検査]

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がん先進治療がん光免疫療法

光免疫療法・特殊な波長の光の力でがん細胞を破壊
副作用が少なく全身の転移巣にも効果を波及

がん光免疫療法とは?

がん光免疫療法は、光線力学的療法(Photo Dynamic Therapy:PDT)の一種です。光線力学的療法とは、光感受性物質を投与した後、腫瘍組織にレーザ光を照射することにより光化学反応を引き起こし、腫瘍組織を変性壊死させるがんの選択的治療法です。
日本で光線力学的療法は、2003年に一部のがんに対し保険承認されておりますが、近年EGFRモノクローナル抗体と光感受性物質である色素IR700を用いた治療法が一部の頭頸部癌に対し条件付早期承認を取得しています。
レーザー照射で破壊したがん細胞より放出される抗原が、樹状細胞の活性化を介して抗原提示応答を誘発し、細胞傷害性T細胞の活性化することで、照射部から離れた全身の転移巣に対しても効果を発揮する可能性があります。この効果は免疫チェックポイントとの組み合わせでさらに増強される可能性があり、当院では複合的な治療も行っております。
当院では、がん細胞に特異的に取り込まれるよう加工したICG-liposomeおよびIR783-liposomeを光増感剤として使用し、レーザー光の照射可能ながんを対象として治療を行っております。また、併せてより深部に浸透する超音波力学的療法(Sonod Dynamic Therapy:SDT)を併用しております。
放射線治療や抗がん剤治療などとの併用治療、標準治療にて十分な治療効果を得ることができなかった患者様にも効果が期待できます。
PDTは正常組織に与える影響が少なく、侵襲性の少ない治療法です。このため、末期(ステージⅣ)にて積極的治療を受けることができない患者様にも治療効果の可能性が認められる場合は当院での治療適応が可能です。

光免疫療法のメカニズム

特定のレーザー光を当てると、光感受性物質は励起されエネルギーが高い状態となります。この際、光感受性物質がエネルギーを放出して本来の状態に戻ろうとし、活性酸素を放出します。このことを、光化学反応と言います。もともとがん細胞は活性酸素に対して弱いという特徴を持っており、光化学反応によって発生した活性酸素はがん細胞を破壊します。しかし、正常な細胞は「オキシダーゼ」と呼ばれる抗酸化酵素が働き活性酸素を無毒化するので破壊されることはありません。当院では光感受性物質としてICGやIR-783を使用しております。ICGは副作用の少ない生体蛍光物質とし知られ広く一般検査用薬として臨床にて用いられ、安全性の高い光感受性物質として知られています。IR783は光反応を要せずとも抗腫瘍効果を有しその有用性や安全性が確認されており、近年臨床での応用が試みられています。

当院では、マルチレーザーデバイスシステム(MLDS)を用いて治療を行っています。MLDSは、静脈内・間質内・関節内・光線力学療法(PDT)として世界で初めて承認されたシステムです。EU(CEマーキング)やFDAの承認医療機器として認められており世界30か国で使用されています。適切に管理された超⾼出⼒レーザーにより浸透深度および⾻浸透の深さを強化しており、安全性と治療効果を両立できます。

当院では、穿刺による照射、血中照射、外部から点的や面的な照射など、患者様のがんの状態に合わせレーザーデバイスを使い分けています。また、治療が可能な限り高出力な超音波発生機器を用いて、光が届きにくい深部のがんに対しての治療も行っております。

がんの状態や種類により複数のレーザーの波長と照射方法を組み合わせ使用

※当院のがん光免疫療法では、MLDS(マルチレーザーディバイスシステム)という機器を用いております。これは、静脈内・間質内・関節内・光線力学療法(PDT)のための世界で初めて承認されたシステムです。EU(CEマーキング)やFDAの承認医療機器です。
また、当院では独自に高出力な近赤外線(IR)を安全に照射可能な レーザー機器も併せて使用し、幅広い症例に対応できるよう治療を行っております。

光免疫療法で用いる代表的な感受性物質

光感受性物質を患者様により使い分けられるよう複数用意しております。

当院では、がん光免疫療法・がん超音波免疫療法の効果をより高めるために、症例に応じて複数の感受性物質を用意しております。

がん光免疫療法・がん超音波免疫療法では、照射前に点滴や外部からの塗布等によりがんに集積するように特別に加工された感受性物質を投与し、一定の時間経過後腫瘍組織に集積した感受性物質に対して、レーザー光や超音波を照射しがん細胞を破壊します。

ICG(インドシアニングリーン)
残存肝機能の検査等に用いられる承認検査薬です。広く臨床にて用いられている検査薬です。一方、代表的な感受性物質としても知られており、手術の際の切除範囲を確認するためのマーカーとしても用いられます。肝機能や腎機能の悪い方でも使用が可能です。

IR783
IR783はICGと同じヘプタメチンシアニン色素です。IR783は、MDA-MB-231およびMCF-7細胞のフィロポディア形成を阻害し、細胞の転移能力を減じることがわかっています。また、IR-783 はミトコンドリア分裂を誘導することで 、がん細胞のエネルギー源であるATP 生成を阻害し抗がん効果を発揮します。このように、光反応を要せずとも抗腫瘍効果を持つことが知られた光増感剤です。

※その他、症例に応じて複数の感受性物質を使い分けて使用しております。

光免疫療法の
免疫的な効果

光や超音波によりがん細胞を破壊した際に、がん細胞から細胞外に放出されるがん細胞の目印(抗原)を免疫細胞が認識し、遠隔病巣にも攻撃を行います(アブスコパル効果)。超音波ががん細胞を破壊する機序も同様であり、超音波による治療においても同様の効果が見込まれます。

がん光免疫療法は、がん細胞だけを選択的に破壊する特徴をもち、かつ破壊したがん細胞の近くの免疫細胞の働きを抑制することがないことから、免疫細胞の元気な状態で抗原を免疫細胞に提示することができます。このことから、照射部から離れた全身の転移巣に対しても効果を発揮する可能性があり、標準治療の適応のない末期がんにも適応の可能性があります。

当院では、がん免疫サイクルに着目した「がん免疫統合医療」も行っており、光免疫療法で破壊したがん細胞から提示される抗原を免疫によるがんへの攻撃に繋げていくためのコンビネーション治療も可能です。この場合は、光免疫療法に加えて①オンコサーミア(温熱療法)、②ヤーボイ(イピリムマブ)減量療法(免疫抑制分子のCTLA-4の働きを抑える)、③水素吸入療法(ミトコンドリア活性)、④オプジーボ(ニボルマブ)減量療法(免疫抑制分子のPDL-1の働きを抑える)、⑤低用量抗がん剤療法などの全部もしくは一部を光免疫療法と併用し行う事も可能です。

これらの治療を加えることで、光免疫療法の免疫学的な効果をより高めていくことも可能です。

光免疫療法によるアブスコパル効果とは?

 がん光免疫療法は、レーザー光を照射した場合、光感受性物質が集積した部位にのみ光化学反応が発生することから、光感受性物質をいかに狙ったポイントに対して集積させるかが一つの治療効果を考える上でのポイントとなります。しかし、末期がんの患者様の場合は全身にがんが転移しているケースが多く考えられ、レーザー光を照射したポイント以外にも全身に対する治療も必要となります。
 放射線治療において、局所に対する治療であるはずの放射線治療を行った際、別の離れた場所にあるがん細胞が縮小したなどの報告がみられます。これを「アブスコパル効果」と言い機序となる免疫システムが報告されています。光免疫療法においても、レーザー光により破壊されたがん細胞から細胞内の物質が細胞外へ放出されることで、近接する免疫細胞がこれを抗原として認識し、自身のがん細胞に対する免疫機能が活性化が期待できます。光免疫療法では、近接する免疫細胞などには影響を与えることなく、がん細胞だけを破壊するので、がん細胞周囲の免疫機能を損なうことなく抗原を提供できる点で優れており、免疫機能の活性化による高い抗がん効果を期待することができます。
※抗原・・・免疫細胞が相手を認識し攻撃するための目印となる物質

がん細胞に光感受性物質を届ける仕組み

がん光免疫療法では、光感受性物質をがん細胞に対して
選択的に届けるドラックデリバリーシステムを用います。

 がん光免疫療法では、光感受性物質を効率的にがん細胞に運ぶ必要があります。当院では、ドラックデリバリーシステムを用いたがん遺伝子治療などをかねてから行ってまいりました。当院では、医薬品や化粧品において広く応用されているリポソーム(脂質の二重膜からなるカプセル)を基本構造とし、これに微量の界面活性剤(ミセル)を合わせて作られた「ハイブリッドベクター」を光感受性物質を運ぶためのドラックデリバリーシステムとして用いています。
 がん細胞の細胞膜は正常細胞より流動的という特徴に着目して開発されたハイブリットベクターは、がん細胞の細胞膜に優先的に蓄積し、光感受性物質をがん細胞に届けます。また、蓄積したハイブリッドベクターは、光感受性物質を運ぶだけではなく、がん細胞の細胞核の中の断片化することでアポトーシス(細胞の自死)を誘導します。

がん細胞が作り出した新生血管の隙間から
がん細胞にのみ集積する仕組み、EPR効果。

がん光免疫療法では、より効率的にがん細胞に光感受性物質を届けるために「EPR効果」を利用します。
 がん細胞は酸素・栄養を取り込み成長するために血管を新生させます。この新生血管は不完全であり、血管内皮細胞の間に200nm程度の隙間が存在します。正常な細胞の周囲の隙間は6~7nm程度であるため、数百nmのナノ粒子は正常な組織には取り込まれず、腫瘍の組織の中に蓄積します。
 また、腫瘍ではリンパ組織も発達しておらず、組織中の異物を排除できずこれらのナノ粒子は腫瘍組織中に貯留します。また、漏れ出した薬剤等は再び血管内に戻りにくくなっています。
 このような特性のことをEPR効果といい、抗がん剤のような低分子の薬剤や遺伝子などを、がん細胞に効率的に運ぶDDS(ドラッグデリバリーシステム)として利用されております。これは、ノーベル賞の候補にもなった前田浩博士(熊本大学名誉教授)による技術です。
 がん光免疫療法では、選択的にかつ効率的に「光感受性物質」をがん細胞に届けるためにこのEPR効果を利用した技術を用いています。

適応

大腸がん、膵臓がん、食道がん、胃がん、肝がん、腎がん、胆道がん、膀胱がん、前立腺がん、甲状腺がん、メラノーマ、肺がん、乳がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、口腔がん、咽頭がんなど。※脳腫瘍・骨髄腫など、レーザー光の届きにくいがんは適応外となります。詳しくは、直接お問い合わせください。

リスク・副作用

適切に管理されたレーザー光を使用するので、正常細胞に対する影響や合併症などの心配はほとんどありません。ICGの点滴の際に稀に皮下血腫、神経損傷などの合併症の可能性があります。治療後、悪寒戦慄などが発生する可能性があります。

がん治療の流れ

患者様の症状により、変更がある場合もあります。

お電話によるカウンセリング

まずはお気軽にお電話ください。
電話番号 0120-232-255※電話相談無料

セカンドオピニオン外来

治療について医師よりご説明いたします。また、患者様の病状をお聞かせください。お一人おひとりに合った治療プランのご提案をさせていただきます。※診療情報提供書は、必須ではありませんが、直近の検査データなどありましたらご持参ください。

治療開始

患者様がご提案の治療をご希望された場合、治療プランに基づき治療を開始いたします。治療前にあらためて検査の必要がない場合は、セカンドオピニオンでご来院された当日から治療を開始することも可能です。

評価

治療開始後は、適宜画像検査や血液検査などから治療の評価をしていきます。※上記検査以外に、オプションとして遺伝子検査などをお受けいただくことも可能です。

料金はこちら
未承認医薬品等で
あることの明示、
入手経路等の明示
本治療において使用する光感受性物質は国内未承認です。一部国内承認の製剤を院内で適法に調剤し使用します。レーザー・超音波ディバイスは、国内未承認および承認医療機器の適応外使用です。日本では、未承認医薬品等を医師の責任において使用することができます。
国内の承認医薬品等の
有無の明示
本治療において使用するICG-liposomeおよびIR783-liposomeと同等の機能を有する国内承認医薬品は存在しません。
光線力学的療法(Photodynamic Therapy:PDT)として国内にて承認済の医薬品等として以下のものがあります。 ・ルフィマーナトリウム:早期肺がん、早期食道がん、胃がん、早期子宮頚がんに対して、1994年に保険承認されています。 ・ラポルフィンナトリウム:早期肺癌、原発性悪性脳腫瘍、化学放射線療法又は放射線療法後の局所遺残再発食道癌に対して、2003年に保険承認されています。 ・セツキシマブサロタロカンナトリウム:切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌に対して、2020年に条件付早期承認されています。
諸外国における
安全性等に係る
情報の明示
ICG:Tamai K, Mizushima T, Wu X, et al: Photodynamic ther-apy using indocyanine green loaded on super carbonate apatite as minimally invasive cancer treatment. Mol Cancer Ther 17(7): 1613-1622,2018.
Shemesh CS, Hardy CW, Yu DS, et al: Indocyanine green loaded liposome nanocarriers for photodynamic therapy using human triple negative breast cancer cells. Photodiagnosis Photodyn Ther 11(2): 193-203, 2014.
IR783:Tang, Q.; Liu, W.; Zhang, Q.; Huang, J.; Hu, C.; Liu, Y.; Wang, Q.; Zhou, M.; Lai, W.; Sheng, F.; et al. Dynamin-related protein 1-mediated mitochondrial fission contributes to IR-783-induced apoptosis in human breast cancer cells. J. Cell. Mol. Med. 2018, 22, 4474–4485. Li, P.; Liu, Y.; Liu, W.; Li, G.; Tang, Q.; Zhang, Q.; Leng, F.; Sheng, F.; Hu, C.; Lai, W.; et al. IR-783 inhibits breast cancer cell proliferation and migration by inducing mitochondrial fission. Int. J. Oncol. 2019, 55, 415–424.
MLDS: EU(CEマーキング)、カナダ:Health Canada、米国:US-FDA(外部照射のみ)、オーストラリア(外部照射のみ)、台湾:台湾-FDAにて承認された医療機器です。
スーパーライザー:国内承認医療機器の適用外使用です。(理学診療用器具、医療機器認証番号:221AGBZX00064000)
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