がん予防と塩分制限
塩分は高血圧の原因であることは古くから知れられておりますが、実はがん、特に胃がん、腎臓がん、膀胱がんなどの原因でもあります。
がんと塩分の関係は古くから指摘されています。塩分は古くから食品を長持ちさせるために使われてきましたが(いわゆる、塩漬け)、食品の流通のスピードアップや冷蔵庫の普及により、塩漬けの食品が減少し、それが原因で欧米では胃がんが急激に減少したとされています。本邦でも、胃がんの発生率が高いのは、漬物など塩分の多い食物を摂る北陸地方、東北地方に集中しています。
和食はカロリーが低いなどで人気があるのですが、実は欠点として塩分が高いのです。一見ポテトチップスなど塩をふって食べる食物が塩分が高そうですが、醬油だしの煮物には塩分がかなりしみ込んでいますので、出汁を含めるとかなり塩分が高くなってしまいます。例えば、かけそばはカロリーが低く、手軽で健康的な食事と思われがちですが、塩分は5g以上含まれています。うどんやラーメンはさらに多く含まれます。もちろん、これにトッピングとしててんぷらなどを加えますと、さらに塩分は増えてしまいます。一日の塩分推奨量は、8-9グラムとされていますので、下手をすると一回の食事でこれを超えてしまうかも知れません。
それではどうすれば良いでしょうか。塩分摂取を減らす工夫をすることはもちろんですが、塩分を中和するカリウムを多く摂ることをお勧めします。塩分の主成分であるナトリウム過多が、高血圧やがんの原因になるのですが、このナトリウムの作用を中和するのがカリウムです。摂取したナトリウムの分のカリウムを同時に摂れば良いのです。
カリウムは、野菜や果物に多く含まれていることは知られておりますが、意外に多いのがイモ類です。また豆類にも多く含まれまれています。大豆に含まれるイソフラボンは乳がんの予防に効果的と報告されていますが、大豆にはカリウムも多く含有しているので、特に豆乳は大変健康的な飲み物と言えます。
結論としては、無駄に塩分を摂らないようにして、カリウムが多く含まれる食品を食べることで、高血圧や一部のがんの予防につながると思われます。
東京月島クリニック 非常勤医師 髙橋 豊